デューラの執着

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プロローグ

先日からの纏まったオフのついでに久々に家に帰り、自分の部屋で寛ぎながらも、
明日からまた仕事が始まることに思い至り、とたんに不愉快になってきた。

俺は刑務所で看守をしている。
普段は刑務所の中にある看守用の部屋で寝泊りをしている。看守用の部屋は
囚人どもの部屋と違って部屋がいくつもあるちょっとしたマンションの部屋のように
なっている。
それほど居心地が悪いわけではないし、何より毎日家まで帰るのがめんどくさい。
だからそこに住み着いてはいる。が、まとまったオフが取れれば家に帰ることもある。
たまには顔を見せないとお袋がうるさい。

不愉快になるとは言っても看守が嫌なわけではない。刑務所では看守は
絶対だし、俺は主任看守だから囚人どもも、看守連中もはいたぶり放題というわけだ。
俺にとってこんないい職場はないだろう。
だが、主任看守は囚人どもをいたぶってさえいればいいというわけではない。
めんどくさい書類の作成や、他の看守連中の管理なども時にはしなくてはならない。
囚人どもをいたぶっていればいいだけなら簡単なんだが、そうもいかない。
それがめんどうだ。
その鬱憤はもちろん囚人どもで発散するわけだがな。
だから、こうして寛げる家に戻ってしまうと、仕事場まで朝に出かけるのが
めんどくさくなる。

そんなことを考えているとノックがして親父が入ってきた。
俺の親父は警察大臣をしている。
主任看守である俺の上司でもあるが、末っ子である俺を親父は
とても可愛がってくれている。
そのおかげで俺は刑務所内で好き勝手ができるのだ。

「デューラ、明日お前の刑務所に例のな、囚人を送り込む。いつものように頼むぞ。」
「例のというと、ヤツか?」
「そうだ。ようやく罪を捏造出来た。だが、終身刑は無理だったのでな、期限付きだ。
しかし、生きて出られると困る。だからな、いつものように頼むぞ。」
「分かったよ、パパ。」

俺はいつものように快く引き受ける。
親父が頼むいつものようにとは、『生きて外に出すな。』ということだ。
こいつは俺の得意分野だ。ようするにいたぶり殺しても構わないということだからな。
お望みどおりに殺してやる。

俺は久々の親父の指令にわくわくしていた。
ヤツは少年でもなければ、見目麗しいというタイプでもない。
どちらかというとタフな感じの男だ。簡単には屈しないだろう。
これはいたぶりがいがある。ククッ。こういう男を這い蹲らせるのは
楽しい。どうやって嬲ってやろうかといろいろ策を巡らせる。だんだん楽しくなってきた。
刑務所の囚人が死んでも、特別詳しい詮議はない。それに、囚人同士の喧嘩だとか、
刑罰を受けてる最中とか理由はいくらでも作れるからなんの問題もない。
逆に俺は殺してはいけない囚人を預からされるのが一番やっかいでめんどくさい。
クックッ、面白くなってきた。明日は早く起きて早めに行くか。

「これが資料だ。頼んだぞ。」

俺は資料に目を通す。職業新聞記者。主に政治汚職を担当。罪状は窃盗。刑期6年。

「エバか...」

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