『お昼休みのひととき』



素敵なイラストを下さった麻倉麒麟さまへ捧げます。
どうぞ貰ってやってくださいませ。


(C)麻倉麒麟

このイラストは、麻倉麒麟様から頂きましたvv
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「お、なんだ、エバじゃないか。」
「デューラ!?どうしたんだ、こんなところで。」

エバは突然現れたデューラに驚く。

「それは俺様の台詞だぜ。何やってるんだ。」
「俺は取材の途中なんだけどな、そろそろ飯にしようと思ってな。」

エバは買ってきたお弁当の袋を見せる。

「飯だぁ。なんでこんなとこで...。」
「ん?サンドイッチを買ったからな。ここなら座れるし。」
「ちっ、しけてやがるぜっ。飯ぐらい店で食えよ。」

デューラが呆れたように言い放つ。

「何言ってんだ。もったいないだろう。それに、ここのサンドイッチはうまいんだぞ。」

即座にエバは即答する。
そこは、庶民出のエバと貴族出のデューラの違いでもある。

「まぁ、そこがエバらしいんだけどな。」

デューラは苦笑する。

「それで、デューラはなんでここにいるんだ?」

エバは再度尋ねた。

「俺様も休憩時間だ。あそこにいてもたいくつだからな。気晴らしに散歩だぜ。」
「そうか。ところでデューラ、もう飯は食ったのか?」
「ん?食ったぞ。」
「そうか。」

エバは少しがっかりしたように呟く。

「なんだ?」
「珍しく、一緒に食えるかと思ったんだけどな。」

エバはすごく残念そうにそう告げる。

「くっ。可愛いやつだな、お前。」

デューラははそう言うと満足そうに笑った。

「なっ、何言って!?」
「くくくっ。俺様が側にいてやるから、さっさと食っちまえよ。」
「ああ、そうだな。」

エバはそう嬉しそうに頷き、袋からサンドイッチを取り出すと、早速にかぶりつく。
そして、そのままサンドイッチを咥えたまま、飲み物に手を伸ばした。

「ふ〜ん、なんだ、本当にうまそうだな。どれどれ。」

デューラはエバの咥えてるサンドイッチをしげしげと眺めてそう言うと、
いきなり反対側からサンドイッチに噛り付いた

「んごっ!?」

両側からサンドイッチを咥えた状態で、デューラと至近距離で見つめあってしまったエバは、
真っ赤になって、慌ててサンドイッチから口を離す。

「デュ、デューラ!?何やってんだよ!!」
「あぁ?なんか美味そうだったからな。」

デューラはなんでもないことのようにしれっと答える。

「欲しいんならやるぞ?」
「ん〜いらね。」

デューラはたいして興味なさそうにそう言うと手に持っていたサンドイッチをエバに返した。

「なんだよ、もう。」
「いいじゃねぇか。味見だぜ。結構美味かったぞ。」

デューラはぺろりと唇を舐め上げる。

「そうか。結構気に入ってるんだ。ここのサンドイッチ。」

エバはそう言われて少し嬉しそうに答える。

「ふん。たしかに美味いけどな。でも、エバの作ったやつのがずっと美味いぞ?」
「そ、そうか??」

エバはデューラの台詞にくすぐったそうに笑い、頭をかく。

「なぁ、エバ。それ食い終わったらしようぜ。」

そんなエバを見ながらデューラはにやりと笑いながらそんなことを言い出した。

「お前なぁ...仕事中なんだろう?それに昼間だぞ。」
「いいんだよ。俺様がいなくても、なんら問題はないぞ。」
「......。それはそれで問題なんじゃないのか?お前主任だろう...」

エバは呆れたように言いさした。

「いいんだよ。それとも、エバは忙しいのか?」
「ん〜まぁ、俺もひと段落ついたとこだし。いいぜ、つきあってやるよ。」
「やったぜ。流石エバ!!」

デューラは嬉しそうに笑うと、エバに抱きつく。

「こ、こら。まぁ、最近はなかなか時間があわなくてやれてないもんな〜」
「おう。そうと決まれば、さっさと食ってしまえよ。俺様も手伝ってやるぜ。」

そう言うとデューラはまたエバの食べかけているサンドイッチの端にかぶりつく。

「おい、デューラ!!まったく、しょうがないな。全部食うなよ、デューラ。」

エバは苦笑すると、今度はデューラに負けじと反対側からかぶりつく。


「さてと、どこでやるかな。流石にここじゃあな。」

エバが昼食を食べ終わるのを待ってデューラが呟く。

「そうだな。」
「俺んとこに来るか?」

ここは、デューラの刑務所のすぐ裏手になる。

「ん〜そうだな。」

エバの顔が少し曇ったのをデューラは見逃さなかった。
デューラの刑務所は、エバにとっては冤罪で服役させられ、
デューラに陵辱の限りを尽くされた場所である。

「やっぱ、いやだよな。」

デューラがやや自嘲気味に呟く。

「ん?なんだ。俺は別に構わないぞ。
それに、家に帰ってにすると、もう仕事に行く気がなくなるからな。」

エバはデューラの気遣いを嬉しく思い、その憂いををきっぱりと否定した。

「いいのか?」
「ああ、あそこは久しぶりだしな。懐かしいぞ。」

実際のところ、強がりでもなく、エバはそれほどこだわってはいなかった。
刑務所内でのあれこれがあったからこそ、今こうしていられるのだ。

「そうか。じゃ、行くか。」

デューラはほっとしたように頷くと、歩き出す。

「でも、デューラ、俺まだこれから仕事だからな。ほどほどにしてくれよ。」
「あぁ?いいぜ。続きは夜に、ゆっくりな。」

そうにやりと笑うデューラに苦笑しつつも、エバは愛おしそうにデューラを見つめた。



<了>

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